ユニバーサルデザインを取り入れたものづくりのため、8つの提言
財団では昨年度福島県から委託事業を受けユニバーサルデザインを取り入れたものづくりの普及のため、ユニバーサルデザインのものづくり研究会(委員長 日本大学工学部建築学科教授 若井正一氏)を6回開催しました。これからのものづくりに欠かせないすべての人の使いやすさを追求したユニバーサルデザインをどのように取り入れればよいかなどについて研究活動を行いました。その概要を紹介します。
?@ユーザー対話型のものづくり
ユーザーを正しく理解し、作り手と使い手の対話型デザインを目指すことがとても大切です。
?A多様なスタンダードの提供
多様なスタンダードの提供により、多くの人々が快適で使いやすい製品に出会えます。
?Bプロダクト・パフォーマンス・プログラム(PPP)の手法を生かした製品開発
PPPは製品のユニバーサルデザインの達成度を数値で表すことの出来る画期的な評価法です。このPPPが出てきたことによって、企業の製品開発に少なからず刺激となっており、現にこのPPPを自社の製品の評価基準として採用している大手の企業もあります。
今後他の企業も更に評価法を改良し、開発していくことで、ユニバーサルデザインの原則により忠実な製品が製造されていくことが見込まれます。
?Cユニバーサルデザインのものづくりへの支援
これからの企業の研究開発にユニバーサルデザインの思想を取り入れていくには、産・学・官の連携によるユニバーサルデザイン製品創造の場の設置と製品開発助成など、製品の生産から流通までを考えたバックアップの強化が望まれます。
?Dユニバーサルデザイン顕彰制度の創設
幅広い分野でのアイディアを募集し、応募作品の公開審査、顕彰を行うことにより、ユニバーサルデザインの考え方の普及が図れます。
?Eユニバーサルデザイン・センター(仮称)の設立
中小企業が本格的なものづくりを実践していくにはいろいろな検証、調査、ヒアリングが必要であり、この機能を担えるユニバーサルデザイン・センター(仮称)によるサポートが必要だと考えます。
?Fユニバーサルデザイン・インストラクターの育成・派遣
ユニバーサルデザイン製品の生産から流通・販売までの一連の活動の全体を通して指導できる人、いわゆるユニバーサルデザイン・インストラクターの育成・派遣が望まれます。
?Gユニバーサルデザインの意識の高揚
ユニバーサルデザインに関しての意識をひとりでも多くの県民に持ってもらうことが、ユニバーサルデザイン普及の近道ともなります。
ユーザー対話型を基本に、前回より今回が、今回より次回がよりユニバーサルデザインとなるように考えた前向きなものづくりが活発に行われ、それによって流通環境が整備され、無意識のうちにユニバーサルデザインが浸透している社会こそ理想のものづくりではないでしょうか。
財団では今後もユニバーサルデザインをものづくりに普及されるよう支援して参ります。